黒いカラスは人に嫌われ、
白いカラスは仲間に嫌われる。
「どうして」
そんな想いを何度抱いて泣いただろう。
涙に濡れた羽がずしりと沈む。
だけれど、兄弟は笑う。
陰口を叩かれても、後ろ指を差されても。
それでも、兄弟は言った。
「この愛しい世界に幸せを」
*
狂気にも似た慈悲深き精神は、
“キレイゴト”なんてものは知らない。
夢幻空想の戯言でもない。
“ひとつ残らず、幸せな世界”
それを心の底から信じて生きている。
**
兄弟はこれからも、羽の重さを背負いながら
空を見上げて想っている。
この涙はきっと
いつか誰かの乾いた心に
美しい花を咲かせるんだ
***
「どうして」
その答えはもう、知っているから。
[1回]
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