真っ白な世界が少女の全てだった。
何をするでもなく、只々存在するだけ。
少女が存在してから幾年か過ぎた頃、
白の世界が一瞬にして変化する。
白い紙に黒のインクを落としたように、
真っ黒な男が真っ白な少女と出逢った。
唐突に訪れた真っ黒な男は、
少女を見つめ静かに手を差し出した。
少女は白い指を伸ばし、彼の手に触れる。
彼の手に、初めての温もりを知った。
その瞬間、白い世界は終わりを告げた。
そして、黒の世界が少女の全てになった。
愛を知らない 白
愛を殺した 黒
二つの色が混ざる時
二つの世界は一つとなり
灰色の歪な愛が生まれたという
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